MIZUMA ART GALLERY


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EXHIBITION ⁄ 展覧会・イベント

2004/05/19 - 2004/06/19
棚田康司 展

  • 少女
  • 2003
  • 樟材 一木造に彩色
  • H191xW37xD35cm
木彫の人物像で知られる棚田は、これまで木彫を基調にステンレスやFRPなどの異素材を積極的に組み合わせ彫刻を拡張・拡大してきましたが、今回の個展では人物が立つ台から頭の先までほぼ一本の木から削って、人体を作っていくというシンプルな工程で制作された新たな人物像を発表致します。

本展は「蝶少女」「天少女」「花少女」という三姉妹をメインに全て新作で構成されます。少女達は華奢な体に帽子やパンツや靴下など、1アイテムだけ身に付け、どれも立った姿勢でのポーズをとっていますが、膝の部分が曲がっていたり、内股になっていたり、重心が不安定でどの像もどこか力が抜けています。今日の作品は、自らや家族のライフマスクをかたどったものを異素材で仮面のように貼り付けた冷たい顔面が特徴的だった過去の人物像とは異なり、全て木を彫り着彩された「面」は、どこか困ったような、悲しいような寂しげなような、複雑な様相を帯びています。と同時に穏やかにも見える少女達の表情からは、力を抜いて立つことの難しい現代社会の痛々しさや不安さの暗示だけではなく、不安定でありながらもこれから立ち上がろうとする可能性、未来へ向けての意志といったものも感じ取ることができます。

去年あたりから挑み始めたこのような手法は、棚田が全て木を彫りこんでいくことでより対象に向き合おうとし、彫刻の中にいかに"意志"を"込める"ことが出来るかを強く意識するようになった表れでもあります。最近痛々しい姿や傷つきやすいものの中に「美しさ」を感じているという棚田自身の中にも、渦巻く自身の荒々しさや脆さは確実に存在しており、それらを否定するのではなくストレートに表現しようとした結果が今回の新作となっています。