MIZUMA ART GALLERY


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EXHIBITION ⁄ 展覧会・イベント

2003/01/15 - 2003/02/15
筒井伸輔展

筒井は蜜蝋を使い、一貫して蛾の生殖器や蜂、蜘蛛など「虫」をモティーフにした作品を制作することで知られています。本展は作家の約一年半ぶりの個展となります。

今回筒井は「一匹のバッタの抜け殻」をテーマに新作を発表します。
今夏鎌倉に住む作家がバッタの脱皮現場を目撃し、完璧な形でそこに残された抜け殻をもとに蜜蝋を使った新作を制作することを思いつきました。抜け殻をパーツごとに九つに分解し、それぞれの部分をかたどった作品を制作し再構成します。
サイズも色合いも各作品ごとバラバラに制作してありますが、自分で分解したその殻をもう一度作品として表現することで、この抜け殻となった一匹のバッタの存在は永遠の命を与えられることになるのです。

筒井が作品を制作する手順は、まず拾ってきた虫の死骸の一部を「ある特殊な方法で」取り出し、顕微鏡写真に撮ったものを壁に投影し、映しだされた形を忠実になぞり作品にします。一見不思議な抽象画にみえるそのイメージは、半分は自然そのものの形で半分は作家の手による偶然でうまれます。そして更にそれを自然からできた蜜蝋で平面作品に仕上げることによって、バランスのとれた、自然と人工の空間を創出しています。透明感があり奥行きを感じさせる蜜蝋独特の質感からは、顕微鏡を覗いたときの全てが透けてみえたときの作家の興奮を感じ取ることができるでしょう。筒井はあくまで虫にこだわる主張をみせながらも、作品の中ではニュートラルな色、形におとしこみ作家の主観・痕跡を極力そぎおとしており、その発想の新鮮さは、類い稀な「筒井ワールド」を具現化しています。

前回(2000年)の個展では筒井は「蜘蛛の糸」をモティーフにした作品群を展示しました。
そして今回は「バッタの抜け殻」。どちらも虫の死骸そのものに着目していた頃にくらべると、「生きていた痕跡」ではなく「生きている痕跡」の方に筒井が目を向けはじめていることにきづきます。 蜘蛛の巣をはった蜘蛛は、そして脱皮したバッタはその後どこで生きどんな一生を送ったのだろうか?作品を前にしてそんな想像をすることも楽しめる展覧会となることでしょう。
また、他にも最近筒井が手に入れたというガリ版印刷機による新作も制作・発表予定です。
原紙に蝋をひいて、ひっかいて刷るガリ版機は、これまで蝋を使って作品を作ってきた作家の、蝋を素材とした新しい展開となります。昔の雑誌の表紙のような多色刷りもできるこの機会で新作も発表いたします。