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EXHIBITION ⁄ 展覧会・イベント

2003/04/02 - 2003/05/02
岡田裕子展「俺の産んだ子」

「恋人もいらない、結婚もしたくない、でも、なんとかして実の我が子は欲しい、俺が腹を痛めた我が子が・・・。」

岡田裕子は自分の体験などをもとに、自身や身近な人々の写真を撮りフォトコラージュ・ペインティングした作品でよく知られています。 本展は2001年に男児を出産した岡田の「妊娠・出産」体験から発展した「男性の妊娠・出産」がテーマとなっています。

ある時岡田はふと「妊娠していてお腹が大きい小太りな男が、汗水垂らして駅構内の階段を登る姿」という映像を思い付きました。そしてその妄想から「ある一人の男が大金と最新医療技術を駆使して、自ら妊娠し、子供を産む事を決断した」というストーリーの映像作品を制作しました。それが展覧会タイトルでもあり本展のメイン作品でもある「俺の産んだ子」です。この作品は二つの映像が同時に進行していくようになっており、映像には妊夫(ニンプ)になった男が出産までガンバル姿や、若き女性研究者信州大学医学部武藤香織先生(実在)による医学的・社会的見地からのレクチャー などが流れます。
この作品を制作するにあたり岡田は武藤先生はじめ医療に携わる様々な方の協力を得、 現在考えられる限りの先端医療技術をリサーチしています。
男性が妊娠するというのはもちろん「現段階では」フィクションですが、リサーチの結果ではどうやら男性の妊娠は現在シュミレーションが充分可能となっているようです。実際、大腸に受精卵を着床(!)させる実験は行われて成功したそうですし、また昨年から子宮移植はマジメに研究しているグループが出てきているらしく、サウジアラビアではヒトで実験をしていた?・・・という話も出ているようです。
このように最新医療技術が日々進行している今日、とうとう昨年末にはスイスに本部を置く新興宗教団体の研究機関が、この度クローン技術により妊娠、出産を成功させたとの発表を行ない、「初のクローン人間、誕生か?」のニュースが世界中を驚愕させたことは人々の記憶に新しいでしょう。
岡田はこのような現状をふまえつつ、この"出産する男"の人間像を通じて現代人のココロの翳を探ろうとしています。「俺が産んだ子」に登場する男性は「恋人や妻(女
でも男でも)はいらない」と言い切っています。深いコミュニケーションを断絶し、現在の家族や夫婦の制度にもギャップを感じている男。「妻」はいらない、セックスもしたくない。けれども、実は彼は無意識に自分以外のニンゲンとの交わりを切実に
欲していて、その結果が自分のお腹を痛めての「出産」という選択であった・・・この男性像には現在ますます増加の傾向にあるらしい、他人との関係性に悩む人々の「心の病」も投影されているように見えます。しかし岡田の映像はどこまでも明るく ミュージッククリップのような軽やかさで「一人の妊娠した男性」を追っています。

これまで男女間の恋愛をテーマの主題に選んできた岡田にとって今回の作品は恋愛不在のラブストーリーであり、本展で作家の新しい境地を見ることができるでしょう。
映像作品の他には、新作ドローイング、立体、写真などあらゆるスタイルで表現され た「男の妊娠」が展示される予定です。
これからもしかしたら起こるであろう、いやできれば起こってほしくない?賛否両論 がでそうなこのテーマと、「彼は果たして念願の出産を無事果たせるのか?」という 結末を是非皆様に御覧いただきたいと思います。

<関連イベントのお知らせ>
本展に際し、作品「俺の産んだ子」のラストに曲を提供した現代音楽家の平石博一の イベントをミヅマアートギャラリーにて行います。
また曲と曲の合間には岡田裕子によるトークショーも行う予定で、「俺の産んだ子」 の裏話なども聞くことができるかもしれません。是非皆様お誘い合わせの上御来場下さい。
イベント「平石博一ライブ&岡田裕子トーク」
日時:4月19日(土)
6:30pm開場 7:00pm開演〜8:30pm
(時間は変更の可能性あり)
入場料:800円(1ドリンク付)


平石博一(ひらいし・ひろかず)
プロフィール
'48年生まれ。独学で作曲を修得、'70年代から'80年代にかけて主にポピュラー・ミュージック、商業音楽系の作編曲やレコーディングの指揮などを行う一方、自作の発表を行うという独自の活動を展開してきた。'72年から一貫してミニマル・ミュージック的な作風を追及。音楽の世界において日本で唯一人真の「ミニマル主義者」と呼ぶに値する作曲家である。 作品はピアノ曲などの独奏曲,弦楽四重奏をはじめとする室内楽からオーケストラ、さらに電子音楽など幅広くあるが、'93年以降テクノ・ミュージック、ハウス・ミュージックとも呼べる作風も多く生み出している。'99年〜'00年、 ACCの助成によりニューヨークに滞在、現地でコンサート・パフォーマンス等を行う。また国内での音楽活動も幅広く行っている。