MIZUMA ART GALLERY


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EXHIBITION ⁄ 展覧会・イベント

2001/04/17 - 2001/05/12
笠原 出 個展


“笑い”をテーマに作品を制作し続けている笠原出は、“笑い”を通して人間の本質を探ろうと試みています。

笠原の作品にはいつも笑っているキャラクターが登場し、パステルピンクでまとめたり、バルーン素材を使ったり等どれもかわいらしいものばかりです。けれどそのキャラクター達は口は笑っているものの、顔はのっぺらぼうで、よくよく見ているとちょっと無気味な感じがしてきます。能面が場面によって多様な表情を見せるように、笠原出の制作する作品の“スマイル”は愛嬌があってかわいらしのいと同時に、皮肉やあきらめなどネガティブな感情も併せ持っているのです。
本展覧会のタイトルは「FLUFFY FLUFFY」。FLUFFYとはふわふわした、あいまいな、といった意味で、笠原作品の一貫したテーマである“笑い”と共に今回は“実体のないもの”が重要なテーマになっています。

本展で笠原はギャラリーいっぱいに青空と雲を演出します。ギャラリーの壁には窓が開いているかのように四角く区切られた青い空が広がり、その中にはふわふわと白い雲が浮かんでいます。そしてその雲には“笑い”を浮かべた口元がだまし絵のように描かれています。さわやかで明るい青い空と笑っている雲、どこからみてもかわいくてハッピーな空間・・・のはずなのにふとその口元だけの“笑い”の存在に気がつくと青空の明るさがなんだか急に奇妙で不穏なものに見えてくるのです。

笠原は作品の中の雲が“実態のないもの”の象徴であって、形があってないような雲の姿を表現しようとする事自体、オルゴン・パワー(*UFOを呼んだり、病気を治したり、雲を集めたり消したりできるナゾの力のこと)を使って描き出したようなものだとコメントしています。天に続く大きな空に、あいまいな煙のような雲をなんとか形にしようとする無謀で悲しくも可笑しい行為、それは「幸福」という形がどこかに必ず存在すると信じ、それが一体どういったものなのかどこにあるのかを懸命に探し続ける人々の姿にもすこし似ています。

笠原は、あいまいなものこそが実は完璧に存在しているものかもしれず、またそういったものの存在を純粋に信じきっていることはある意味幸福なのかもしれないと考えるのです。                     

笠原出の作品は、まるで上質のコメディのように、様々な現象や感情を“笑い”の表現の中につめこんでいます。この新作展では壁全体に作品がインスタレーションされ、訪れた鑑賞者は壁いっぱいに見える空に会場全体がつつまれているような感覚を覚えることでしょう。そしてその時、雲にできた“笑い”の中に何かを見つけだすことができるでしょうか。