MIZUMA ART GALLERY


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EXHIBITION ⁄ 展覧会・イベント

2000/10/05 - 2000/11/04
山口 晃 個展

「もし日本の美術に急激な西洋化が起こらなかったならば現在はこんな絵が描かれていたのではないかと想像し、架空の日本美術史上の架空の画家になったつもりで作品を作っているのかもしれない・・・」                                                            ーーーー 山口 晃  

山口晃は大和絵風の表現を引用しながら、現代社会の有り様をユーモアと風刺を交えて描き出すアーティストです。一見伝統的な屏風絵のような彼の作品をよくよく観察すると、武士や着物姿の町人と共に、背広姿のサラリーマン、高層ビルやバイク、欧羅巴(ヨーロッパ)の片田舎の風景などが混然と同居しています。洛中洛外図的な構成や吹き抜け屋台といった日本の古典的構図の中に、古今東西の様々な事象を自在に取り込んでしまう独特の表現が山口作品の魅力です。高度な描写 力があり遊び心にあふれた彼の作品は、海外でも単なるエキソチズムを越えて高く評価されており、国内外の美術館の企画展で作品を展示しています。
そんな山口晃のユニークな表現方法も、単なる懐古趣味ではなく、彼のアーティストとしての様々な試行錯誤の上に作られています。まず、彼は自ら作品を制作したり鑑賞しているうち、美術と社会の間のコミニュケーション不在に気が付きました。観客は風景や静物画なら興味を示すかもしくは競売で高値で取り引きされればより芸術的と理解し、作家は難しい“コンセプト”とやらを一方的に押し付ける・・・といった作家の高慢と観客の怠慢という不幸な図式です。そんな状況を考慮しながら、山口晃は観客に媚びることなく、作品に向き合わせコミニュケーション可能な作品を作ろうと工夫をこらしています。

また彼が大和絵を引用するのは、盲目的に西洋化していく日本社会への疑問を投げ掛けているからです。現在の私たちは着物でなく洋服を着て、洋食を好み、すでに西洋的な視点を通して自分たちの過去の文化を見ています。山口晃はここで西洋文明汚染以前に立ち返り、ゆっくりと自分たちの居場所を確かめ直そうと試みているのです。
様々な深い思考に基づいて作られているとはいえ、山口晃の作品は難しい理論や言葉を越えて多くの人々の心をとらえ、老若男女が楽しめる普遍的なものに仕上がっています。それは彼の作品の持つビジュアル表現が、非常にインパクトがあり、それだけで人々に訴えかける要素を持っているからなのでしょう。

本展覧会は全て新作で構成されます。様々な時代の人々が快楽に身を任せ思考もせず遊びにうつつを抜かす様をユーモラスに描き出す、屏風絵風の大型油彩画「今様遊楽圖(いまようゆうらくず)」(写真参照)をはじめ、お茶の間から美術館まで何処にでも伸縮自在に展示可能な、左右天地に十字に広がる巻物風の「自在絵」など、趣向を凝らした作品が並びます。 今展を是非御高覧ください。
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