MIZUMA ART GALLERY


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EXHIBITION ⁄ 展覧会・イベント

1999/08/07 - 1999/10/16
山口晃展 「借景」

山口晃は昨年夏に当ギャラリーにて初個展を行い、若手ながら非常に卓抜した画術を持ち、日本の伝統的な大和絵的表現を引用しつつ細部に現在の諸事象をおりこむというユニークな作品を発表して注目を集めました。
彼の作品の特徴は、現在と過去、日本と西洋、生身と機械、など相反する要素を同時に混在させ、ブラックかつ上品な機知と洒落にあふれた表現をする点にあります。山口の描き出す、現実と非現実との微妙なズレ、独自のユーモアのある世界には、人々の心を惹き付け思考させるという巧妙な仕掛けが隠されています。
山口の作品は海外での評価も高く、今年5月には光州ビエンナーレで知られる韓国・光州市の美術館で企画されたグループ展にも参加しました。その際、彼の作品の持つ日本の伝統的表現の引用という表面的なエキゾチズムではなく、描かれた内容や事物に対して人々の関心が集まり、賞賛の声を多く耳にしました。
  • 「当世おばか合戦」(部分)
  • 1999年
  • キャンバスに油彩
  • 97×324cm
今展では「借景」というタイトルの元に全体が構成されます。借景〜つまり、外部の山や木々などの景観を庭園の景色の一部として視覚的に借用するという考えですが、 今回は「借景」そのものの図式にはなりません。借景という言葉や概念が、作家によってアレンジされて、視覚“装置”としての空間が形成されるのです。
会場内は壁で仕切られたり、台が置かれたり、と作品を“見る”位置が作家によって半ば強制的に指定されます。そして例えば、大和絵風の風景画とそれと同じ風景を写実的に描いた小さな画が対峙されていたり、印刷図版の肖像とその図をそっくり拡大模写した油彩画や、家屋と壁のある道がいつのまにか軍艦にすり替わっているという対になったドローイングなどが展示されます。また韓国・光州にて発表した、大和絵風油彩画の大作も本展に組み込まれます。
そこで私たち鑑賞者は似て非なるものを見比べることをうながされ、ものを“見る”時に持つ先入観に気付かされると同時に、作家のユーモラスな視点に思わず笑みを誘われることでしょう。
山口晃は作家独特の視点と表現から、常に見る者の固定概念や予想を覆す作品を制作しています。今回の展覧会でも一体どのような作品を見せてくれるのか、非常に楽しみな作家です。
  • 「頼朝像図版写し」(2点組)
  • 1999年
  • 油彩
  • 各81×65cm
  • 「借景」(2点組)
  • 1999年
  • キャンバスに油彩
  • 左:30.7×8.5cm 右:243×65cm

  • installation view at Mizuma Art Gallery