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真島直子 展 「地ごく楽 2005」(TOKYO)

2005年11月01日(火) - 11月19日(土)

アトリエの床にロール紙を広げ、正座をして描き続ける鉛筆画は、下絵、消しゴム等は一切使用せずに鉛筆だけで大画面を埋めて完成させるため、時には気を失うほどの集中力を必要とします。紙面には大きな渦がいくつも発生し、近付くと卵子や精子、微生物のようなものが、不思議なエネルギーに満ち満ちて蠢いているように見えます。


 


一方オブジェは、カラフルな布や糸などで作られた異形の物体です。その一種滑稽な無気味さはまさに地獄からはい出してきた生き物のようです。


 


真島直子作品の、そのどろどろとした濃いエネルギーと、嫌悪感さえ呼ぶようなグロテスクな表現は、クリーンな現代社会が築きあげる<「生/死」と我々との間にある垣根>をことごとく破壊します。


 


2002年にはバングラディッシュ・ビエンナーレでグランプリを受賞、翌2003年にはパリのクロードサミュエルで大規模な個展を行いました。また2004年にはジャカルタアートサミットに日本代表として選ばれるなど、文化、宗教を越えて世界的な評価が高まっています。種村季弘(評論家)、山口昌男(文化人類学者)、アラン・ジュフロア(詩人/評論家)らに強い興味を抱かせる事からも、真島直子の作品は今を生きる者達が共有する何かに訴える力をもっていると言えます。


 


日本の現代アートのマトリックスとも言うべき存在感と現代美術に対する問題意識を持ち、独自の表現に昇華させた真島直子。毒々しくも品性のある、混沌の中の静寂、地獄の中の極楽を御堪能ください。


 


なお、展覧会と時を同じくして作品集「地ごく楽」(テキスト:和/仏/英 3カ国語)が発刊されます。書店に先立ち、画廊にて販売致します。