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丸田斎 展「平和と波動」

2010年07月14日(水) - 08月14日(土)

2010年7月14日よりミヅマ・アクション(中目黒)では丸田斎「平和と波動」展を開催いたします。


 


丸田斎は1969年、長崎県佐世保市生まれの作家。


東京における初の個展となります。


 


紙やキャンバスにアクリルや油彩などを用いる作品は、ペンによる表現を重要な要素としています。制作の大半の時間は、先が0.1ミリのドイツ・ロットリング社製の製図用ペンで、「描く」というよりは「打つ」ことに費やされます。無数に打たれた点での表現は、不思議な丸田ワールドを展開し、見る立ち位置により微妙に変化する画面は、遠景から見ると、ただならぬ世界の表現に圧倒されます。


本展の題名「平和と波動」の由来は、そんなミクロの表現からきています。丸田は、平和への祈りを込めて0,1ミリのドットを毎日10時間、1年間打ち込み続け、今回の10メートルの大作を完成しました。 


10年近く続く、丸田のロットリング手法へのこだわりは、点描の表現を取り入れていたとされるレオナルド・ダビンチへの強い関心があります。そして、朝の読経のように始められる「打つ」行為は、快楽的に「描く」行為とは異なり、修行僧が、百万巻の念仏を唱える行の世界に通じると作家は言います。


 


かつて東京に暮らしていた丸田は、その生活に疲弊して長崎へ帰った折、自身の求めていたのが、幼少の頃親しんだ山草の茂みや海の磯の香りだったことに気付いたと言います。それは原爆を落とされ焼け野原となった故郷・長崎への哀切の想いと合わせて、過去への郷愁や未来への希望、愛や平和への祈りに制作の動機を置く契機となりました。


本展のメイン作品となる10メートルの大作「世界平和」は、海や山の生き物を始め、古今東西の歴史的な建物や街並みに潜む戦争の記憶や物語、さらに仏や社寺など作家の想いを映す壮大な神話的世界が表現されています。それはまた、点の数ほどある画家の平和への祈りが作らせた作品ともいえます。


 


丸田は、本当の平和の時代はなかなか来ないが、それを祈り、その想いの丈を作品を通して人々に共感してもらうことが出来ればと願っています。


65年以上も前、戦争と原爆の惨禍が長崎や広島に起きた事を、私たちは忘れてはいけません。


 


情報と時間が忙しく過ぎていく現代社会の中で本展を通して戦争平和を振り返る機会となれば幸いです。