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赤松音呂展「Chozumaki / Chijikinkutsu」(TOKYO)

2018年04月04日(水) - 04月28日(土)

4月4日(水)より赤松音呂の個展「Chozumaki / Chijikinkutsu」を初開催致します。


 


赤松は近年デバイスを用いたインスタレーションを続けて発表しており、2015年にはオーストリアで開催される国際的なメディアアートのコンペティションであるアルス・エレクトロニカ賞でゴールデン・ニカ賞(グランプリ)を受賞しました。インスタレーション以外でもパフォーマンス、ビデオ、立体、絵画など様々なメディアを用いて、普段の生活上で意識に留めない世界にひそかに脈打つリズムを掬い上げ作品化します。本展ではゴールデン・ニカ賞の受賞作品《チジキンクツ》並びに《チョウズマキ》を発表いたします。


 


《チョウズマキ》はガラス器の水の中に発生する渦巻きのゆらぎの音を用いたインスタレーションです。

作品は水を入れるガラス瓶とホーン形状に繋がる管で構成され、瓶に入れられた磁石が外部の磁力により回転して渦巻きが現れます。その回転は常に変化を続け、ゆらぎを持った渦巻きは水流の音に泡が弾ける高音が混ざる複雑な音を生み、ガラス管を通りホーンから増幅されています。「渦巻き」はマクロからミクロに至るまで、自然界のあらゆるところで見ることができる宇宙のエレメントの1つであり、人間は「渦巻き」から生成した長方形の比率を黄金比として美の基準にもしてきました。またこの作品では「水」も重要な要素として関わっています。茶室の前に置かれる手水鉢の水が日常世界から茶の世界に入る時の気付きと清めの働きをなすように、渦巻きを伴うガラス器の中の水は彼岸と此岸、物質世界と反物質世界のように対称する二つの世界を結びつけるイメージを想起させます。


 


《チジキンクツ》は「地磁気」と「水琴窟」を組み合わせた赤松による造語です。地磁気は地球上に遍在しながら人には感じることができない一方、渡り鳥、蜜蜂、ある種のバクテリアの行動にはこの地磁気が関係しているとされています。水が注がれたコップにはあらかじめ磁化された縫い針が表面張力で浮いており、無数の小さな針先が磁場に引き寄せられて微細な音を立て、空間にリズムが現れます。不意に周りに現れたこの密やかな力の動きに気づいたときに、世界はこれまでと少し変わって見えることでしょう。


 


私たちの空間と時間に対する意識を優しく変えていくこのふたつのサウンドインスタレーションを、ぜひこの機会にご高覧ください。