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松蔭浩之 × 津村耕佑「妄想オーダーモード」(TOKYO)

2007年06月06日(水) - 07月07日(土)

松蔭浩之×津村耕佑による作品展「妄想オーダーモード」を開催いたします。


 


昨年開催のシンガポールビエンナーレに出品し好評を得た、大掛かりなインスタレーション「STAR」や危険なパフォーマンス「ECHO」などの傍ら、女性を被写体にした写真シリーズ「美人画」を発表し続けている松蔭浩之。04年のセルフポートレイト展以来、実に3年振りに行われる本展は、ファッションデザイナーの津村耕佑とのコラボレーションとして、季刊誌『ART iT』での連載内で発表された写真作品を再構成したインスタレーションとして展開します。


「妄想を着せられた女たち」


 


日本初・日本発の本格的バイリンガルアートマガジンとして国内外に発信する季刊誌『ART iT』で、05年4月発行の第7号からスタートした連載ページ「津村耕佑の妄想オーダーモード」。この企画は、従来の「宣伝としての誌面づくりではなく、純粋な表現を発表するページ」を設けるべきと考えた編集部と、それを受けた津村の提案をもとに生まれました。


 


津村は、大量消費システム上での流行を考えながら新しいデザインを生み出す=ファッションデザイナーという立場ではなく、自身のリアリティーに根ざした作業を展開する実験として、「オーダーメイドを特定の人物に、こちら(デザイナーサイド)からお願いに行く」ことを発案。津村のイマジネーションを手がかりに浮上した候補者(モデル)にプレゼン/対談を経て、さらに妄想を膨らませ、世界中にたったひとつの服を制作し、まとわせる……「妄想オーダーモード」。この連載で重要なファクターである撮影を担当したのが松蔭浩之です。


「(回を増すごとに)いつの間にか松蔭の陰に浸食されることも、さらに妄想の一部となった」と津村が語るように、女性をアイコン化させることにおいて、一見スタンダードながら、独特の観点とエロチシズムで切り取り定着させる松蔭の撮影スタイルが、津村のイマジネーションをより深く、強いものにしていきました。第一回目の山口さよこに始まり、小説家の金原ひとみや、画家の松井冬子、ダンサーの康本雅子ほか、各界で活躍する女性たちを対象に繰り広げられたセッションは9回に渡ります。


 


本展では、“妄想”をまとった彼女たちのポートレイトのオリジナルプリントを中心に、実際に着用した衣装、ドローイングなどを配して、松蔭×津村の妄想をさらに拡大したインスタレーションとして提示されます。過去3年の間の松蔭、そして津村の想いのすべてが込められた作品世界を是非ご高覧ください。


 


なお、本展と同時期に単行本『Fantasy Mode』(グラフィック社刊)が発売されることになりました。会期中にはイベントやトークショーも企画しておりますのでこちらもどうぞご期待ください。


 


書名:『Fantasy Mode』(著:津村耕佑 写真:松蔭浩之)


体裁:B5変形 116ページ


発行:グラフィック社


定価:2,625円(税込)


 


当ウェブサイトおよびギャラリーにご購入いただくともれなく松蔭・津村両氏のサイン入り!在庫に限りがございますので、お早めにお求めください。


 


 


 


 


津村 耕佑(つむら こうすけ)


ファッションデザイナー


第52回装苑賞受賞1983年、三宅デザイン事務所入社。1994年に都市でのサバイバルをコンセプトにしたウエアー「FINAL HOME」を立ち上げる。ファッションデザイナーとして活動すると同時に、時代・社会・都市を見つめた造形作家としても制作活動を続けており、展覧会などの出品も多数。


 


※本展はこれまで前述連載に登場いただいた以下の方々との作品をもとに構成されます。


 


山口さよこ(やまぐち・さよこ)


1970年以降、ファッションモデルとして、パリ、NYのコレクションに多数出演。深遠な東洋の神秘を代表するミューズとして脚光を浴び、米『ニューズ ウィーク』誌から「世界の6人のトップモデル」に選ばれる。演劇、映画、コンテンポラリーダンスなど数々のクリエイションにも参加。近年は言葉を用いたパフォーマンスの構成・演出・出演を行い、映像作家や音楽家との恊働も多い。自身の出演作品のほか、オペラや舞台等の衣装や、ジュエリーのデザイン、雑誌連載の企画プロデュースなど創作の場をさらに広げている。


 


鶴田真由(つるた・まゆ)


高校時代からモデルの仕事を始め、88 年、TVドラマで女優デビュー。以降 『徳川慶喜』『サトラレ』、『氷壁』などのTVドラマ、映画『梟の城』『半落ち』などで幅広く活躍する。2002年の舞台『障子の国のティンカーベル』では一人芝居に、また2006年の映画『シャーロットのおくりもの』日本語吹替版ではアフレコにも初挑戦した。著書には、アフガニスタンへの 旅を綴った『インシャラ』などがある。ナレーションを担当しているTV番組『家族の時間』も現在放映中。


 


佐藤江梨子(さとう・えりこ)


1981年、東京都生まれ。テレビ、CM、ラジオ、舞台、雑誌、執筆活動 など幅広く活動中。『キューティーハニー』など映画界でも活躍し、今年も『口裂け女』に続き、『腑抜けども、悲しみの愛を見せろ』(初夏公開)、『銀色のシーズン』(12月公開)と主演作が控える。村上隆とのコラボレーションによる作品『サトエリKo2ちゃん』 (2004年)では、彼の代表作のひとつ『Ko2ちゃん』に着想を得た写真作品のモデルとして登場。現代アートの世界でも存在感を示した。


 


金原ひとみ(かねはら・ひとみ)


1983年、東京都生まれ。身体改造に魅了された若者たちの姿を描いたデビュー作『蛇にピアス』で第27回すばる文学賞、第130回 芥川賞を受賞。同作は現在、20ヶ国以上で翻訳版が刊行されている。著書は他 に『アッシュベイビー』『AMEBIC』『オートフィクション』(以上、集英社)、また今年4月には長編『ハイドラ』(新潮社)を上梓。登場人物の体温や痛みを生々しく伝える描写力と、それをクールに眺める眼差しとを同居させたような表現を貫きつつ、常に新境地を切り拓いている。


 


松井冬子(まつい・ふゆこ)


1974年、静岡県生まれ。日本画家。幽霊画などをモチーフにした、どこか恐ろしくも優美な画風で注目を集める。成山画廊での『松井冬子展』(2005)、東京都現代美術館での『MOTアニュアル2006~No Border「日本画」から/「日本画」へ』の参加などでさらに評価を高め、今年は東京芸術大学大学院の美術研究科博士後期課程美術専攻日本画研究領域を修了。博士号を取得した。修了制作は野村賞を受賞。今年は6月にグループ展『成山画廊パレード』に参加。9月には画集刊行、さらに12月に成山画廊での個展が開催される。


 


康本雅子(やすもと・まさこ)


ダンサー。松尾スズキらが手がける舞台や映画、サザンオールスターズなどのライブコンサート、また一青窈らの音楽プロモーションビデオなど、様々なシーンで振付・出演する。自身のダンス作品には『夜泣き指ゅ』『オトギ巫コ』『ブッタもんだすって』『脱心講座』等がある。昨年はトヨタコレオグラフィアワードで『メクラんラク』がオーディエンス賞を受賞。今年2月にはジェノバ市での『ジャポネ・ダンツァ』出演。人気の『吾妻橋ダンスクロッシング』シリーズや、多様なコラボレーションにおける活躍も一層期待される。


 


工藤キキ(くどう・きき)


1972年、横浜生まれ。文筆業。村上隆の弟子・キキ&ララ名義での活動などを経て、ギャラリー「P- HOUSE」(現在は六本木にて運営)にてデスクワークに従事。 94年から雑誌『POPEYE』でのライター活動を皮切りに、文筆業を展開する。著書にコラム集『あすなろさん?オルタナ・ハリウッドの住人たち?』(アスペクト)、小説『姉妹7センセイション』『よのなかのパロディ』(共に河出書房新社)がある。また、2003-04年に1年限定で担当した康ギャラリーのキュレーションなど、アートとも並行して関わり続ける。


 


花代(はなよ)


1970年生まれ。現代美術家。幼少期を米国や欧州各地で過ごし、19歳で帰国後、向島で半玉 (芸者の卵)修業を開始。92年に芸妓姿で『The Face』誌表紙を飾り、その後モデル、歌手活動も展開する。並行して幻想的な写真やコラージュ、インスタレーションを発表。『花代展 ウツシ・ユメクニ』『Hanayo- fuck little red riding hood 2002』などの個展、昨年の『Take me with you』(マドリード、東京)など参加グループ展多数。『ハナヨメ』『Hanayo』『ドリームムムム…ブック』に続く最新作品集を近々発表予定。99年からドイツ在住。


 


児嶋サコ(こじま・さこ)


東京生まれ。美術家。京都市立芸術大学美術学部絵画専攻卒業後、ロンドン・ロイヤル・カレッジ・オブ・アーツ(コミュニケーションクラス)に留学。京都市立芸術大学美術学部絵画専攻修士課程修了。小動物をモチーフにした立体作品、着ぐるみをまとってハムスターになりきるパフォーマンスなど、可愛らしさと痛々しさが混在する表現を展開する。最新個展『The gloaming』(07年、東京)ではその世界観を絵画中心で表現した。現在は京都を拠点に活動中。