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天明屋 尚 展 「Made in Japan」(TOKYO)

2006年09月06日(水) - 10月07日(土)

2006年、天明屋尚の一年は、国内の美術館での初出展となる東京都現代美術館で開催された『MOTアニュアル2006 No Border-「日本画」から/「日本画」へ』(於東京都現代美術館)から始まりました。その後もFIFAワールドカップ公式アートポスターシリーズの参加及び、ドキュメンタリー映画シリーズ第4段「≒天明屋尚」の劇場での公開、ベルリン新国立美術館で開催された『ベルリンー東京展』、そして第三作品集「天明屋尚 TENMYOUYA HISASHI」の出版等、私達の目を愉しませる今もっとも注目の作家です。


 


天明屋尚は、日本固有のカウンター・カルチャー、室町時代の「婆娑羅(ばさら)」、江戸時代の「傾奇者(かぶきもの)」の荒々しい日本の野武士的ともいえるスピリットを系譜した、反時代的な制作姿勢を核にした表現方法で制作をしている作家です。作品内に頻繁に登場するデコトラ、暴走族、刺青等と、日本の伝統的絵画から得た対照的モチーフをアクリル絵具やトレイシングペーパー等の現代の新素材を使用することにより伝統と現代を巧みに並列し融合させ、「ネオ日本画」と命名されたその独自のスタイルで時代に挑戦しています。


 


今回出展される作品は、3人の侍の背景に紅葉で日本国旗を描いた大作「Made in Japan」(画像)を中心に、刺青を入れた阿弥陀を描いた「山越阿弥陀図」、そしてトレーシングペーパーを掛け軸仕立てにしたカラーバージョンの「Transparent Scroll」等、楽しみな作品を一挙に展示致します。


 


今日、「Made in Japan」という言葉は純粋に「日本で作られたモノ」という意と、産業界で日本製品の国際的に承認されている機能性とデザインを持つブランド価値の2つの意味合いを持っています。また、この言葉は近年良く言われているグローカル「Think Globally, Act Locally」を至言しているのではないでしょうか。


 


「日本で生まれ育ち、日本の文化、アイデンティティに誇りを持っております。世界のアートシーンでサバイバルする為には西洋の文脈にない日本独自の美意識や文化は武器になりうるのではないか。」と天明屋が語っているように、こうしたスタンスは現代の急激に進む国際化や文化の融合による、スタイリッシュなカルチャーでも海外でステレオタイプ化された伝統的日本文化でもない、強烈までに異彩を放つ「日本から発信されている土着性を超えた日本人作家の作品」である事を意識しています。こうした規制概念を打ち破る絵筆で闘う「武闘派」と自らを名乗り活動することで、本当の意味で「Made in Japan」とは何かを追求し、我々鑑賞者にこの問いを提示しているのではないでしょうか。