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岡田裕子「 愛憎弁当 」(TOKYO)

2007年07月18日(水) - 08月11日(土)

本展のタイトルの「愛憎弁当」とは、岡田扮するサンフランシスコ在住の日本人料理研究家 <ヒロコ・岡田先生> が日本の弁当レシピを紹介するという、架空のカリフォルニアケーブルテレビのお料理番組「Love and Hate Lunch Box」のタイトルです。この番組で紹介される日本風の弁当は、タイトル通り、母が子に対して抱く「愛憎」をテーマにレシピを作っています。


 


四角い箱の中に美しく具材をつめた ”日本の弁当” スタイルは世界的にも他に例を見ないクオリティです。


 


この日本式弁当のルーツは、農作業の昼飯に持つ握り飯から始まるとも考えられ、また歌舞伎鑑賞の幕の内弁当からきているという話もありますが、それらが時代と共に、現在の「学校に行く子供に持たせる母の愛情こもる手作り『愛情弁当』」へと変化を遂げています。弁当と言えば、子供の頃の思い出を生々しく思い出してしまうのが日本人魂ではないでしょうか。


 


今回はこの母から子への「愛情弁当」が、岡田流のレシピにより子育て社会の明暗を映し出す「愛憎弁当」に。それぞれのレシピに社会風刺的なテーマを内包し、どれもずいぶんと奇妙な弁当となっています。


 


「母から子供への愛憎。それを弁当の具に象徴的に組み込み、日本の子育て社会の歪みや、母や妻の姿に投影できれば…」(岡田談)


 


母、妻というフィルターを通し、精力的に作家活動を続ける岡田独自の視線は、現代社会が提起すべき問題点がよりリアリティーをもって私達に届くシグナルなのかもしれません。


 


本展覧会では、「愛憎弁当」のレシピを綴ったドローイングや写真を展示、そして目玉はビデオインスタレーションとしてヒロコ先生のお料理番組を3編放映します。こちらでは現代アートと深く関わった内容で「陣痛弁当」「ポリティカルコレクトネス弁当」「チャンスオペレーション弁当」、といった3つのレシピ。再婚と離婚を繰り返すヒロコ先生に、入れ替わり立ち替わりで現れる3人の夫と共に番組が進行します。3人の夫を演じる豪華ゲストには、知る人ぞ知るアート業界の顔ぶれが・・・と、現代アートマニアには嬉しいサプライズもご用意しています。


 


(ちなみに、この春、一部「陣痛弁当」のみ、『ガンダーラ映画祭』にて制作ドキュメントをメーキングビデオとして公開いたしました。映画祭は好評につき、6月にUPLINK FACTORY、名古屋シネマテークにてリバイバル上映される予定となっております。)


 


http://www.imagerings.jp/gandhara2007_work.html


 


また、会場では「愛憎弁当」の他にも、昨年から今年にかけて制作された日本では未発表のCGや映像作品を公開するなど、岡田裕子の多様な作品をお楽しみいただける機会となっております。