真島直子 展 「密林にて」(TOKYO)
2007年10月17日(水) - 11月17日(土)
真島直子は1944年愛知県生まれ、1980年代初頭より、独自のスタイルをもち、おどろおどろしくも美しい鉛筆画やオブジェを発表し続けています。近年は2006年、国際芸術センター青森、愛知県立美術館での大規模な個展、今夏には横須賀美術館の幕開けとなった記念すべき展覧会、「生きる」展に参加する等、いまもっとも活躍する現代アーティストのひとりと言えます。
「密林にて」と題した本展では、彼女の世界観をさらに昇華させた鉛筆画とオブジェを発表いたします。原始の野生を秘めているであろう密林、そこは人間が立ち入ることのできないミステリーゾーン。真島はその未踏の地に、私たちの住む現実世界より、はるかに豊かな生き物像を描き、生命の根源を追求しています。
真島は横須賀美術館での発表以降、ひとがたオブジェの制作を試み始め、今までのシンボリックなものから、より生々しく精霊的なかたちへと変化させています。カラフルな布や糸、ときに日常のありふれた素材を利用して形成された新作のひとがたオブジェは、驚くほど大きな頭を持ち、目は飛び出し、舌(あるいは鼻)は蛇のように長く、均衡のとれていない、奇怪な姿をしています。
それは真島の現代に対する言い様のない多方向の不信と未踏の地に棲息する生物へのイマジネーションが絡み合って生み出されたのです。
いまや破壊され失いつつある密林には、かつて濃密な時間が流れ、圧倒的な存在感によって人間に多くのイマジネーションを与えてきました。「現代人が密林を破壊しても尚、未踏の地に、生命力を再発見したい。制作はまぼろしを現実化してゆく作業である。」と真島は言います。
真島直子にとって密林とは、自身の中に深く潜入する洞窟であり、私たち(真島)の遺伝子に残る人類太古の記憶にたどり着く為の重要な場所なのです。
生と死、人間の内面を抉り出し、生々しくそれゆえに清らかな真島の作品をどうか皆様にご覧いただきたく思います。