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真島直子展「妖精」(TOKYO)

2012年04月11日(水) - 05月12日(土)

ミヅマアートギャラリーは4月11日(水)より真島直子展「妖精」を開催いたします。


真島直子は1944年愛知県生まれ、1968年に東京藝術大学美術学部油画科を卒業。1986年に個展デビューを果たしてから、独自のスタイルで、おどろおどろしくも美しい鉛筆絵画やオブジェを発表し続けています。日本全国の美術館などで作品を発表する一方で、2001年バングラディシュで開催された第10回アジアアートビエンナーレでグランプリを受賞するなど、インドネシア、フランスをはじめ、世界を舞台に活躍してきました。


1959年に多くの被害をもたらした伊勢湾台風は、まだ15歳だった真島にとって「死」というものの強烈な原風景となりましたが、その「死」の体験をくぐりぬけ、生き残った彼女の作品はゆえに強い生命力に溢れています。

彼女のこれまでの作品は紙の表面に次々と分裂を繰り返す「細胞」のようなものが多数の集団を結成し、繁殖を続け、その群が争って、隅々まで拡大しようとしているかの様でした。しかしこの画風を長年培ってきた真島に、再び襲った自然災害が異変をもたらしました。


真島は昨年の震災以降しばらくの間制作を中断していましたが、再開した彼女の平面作品は、「細胞」が自ら意志を持って骸骨らしき構造物を描くかのごとく、形を物語るようになります。誕生したその瞬間から既に死んでいるかのようなその「妖精」は、具体化した感情や記憶を頭にかぶり、死の境界から永久に渦巻く「生」と「死」の素晴らしい力を、観客に暗示しているのかもしれません。

また、「妖精」は実体となり、展示空間の中にまで進出していきます。真島は日々収集してきた色鮮やかで様々な布、羽、プラスチックの欠片を一体化させ、今回あらたな立体を制作しました。その恐ろしくも美しい像が見るものを死の舞踏に誘います。


まるで生物の様に環境の突然な変化に適応し、驚きに満ちた進化を続ける作品を生み出した真島にとって今回の展覧会は重要な節目となるでしょう。生命が根底に持つ、創造力のエネルギーを体感して頂ければ幸いです。