8月21日から9月28日まで、ミヅマアートギャラリーに於きまして近藤聡乃展「KiyaKiya 1/15秒」を開催致します。
近藤は昨年初のエッセイ集「不思議というには地味な話」(ナナロク社)を出版、Web文芸誌「MATOGROSSO(マトグロッソ)」では漫画「ニューヨークで考え中」を隔週連載するなど活躍の場を広げています。
「KiyaKiya(きやきや)」とは「胸がきやきやする」という「何とも説明し難い、懐かしいような、気がかりなような」「既視感の気分」を表す古い日本語からの造語です。2011年の個展で発表したアニメーション「KiyaKiya」では、一人の少女が同時進行する3つの時間軸にそれぞれ存在し、別々の生活を繰り返しながら、少しずつ干渉し合い、永遠にそれが続いていくという物語を6分半で表現しています。
普通再生すると6分半で終わってしまう映像ですが、その1秒1秒は15枚の絵からできています。6分半の映像としての時間と、1/15秒の集積としての時間。この2つを「違うもの」として捉える時、今とはまた別の時間軸、別の世界の可能性を感じると作家は言います。
<ぼんやりと過ごして何をしていたのか覚えていない時もあれば、大昔のことなのに、その時に誰とどこで何をしていたのか、はっきりと覚えていることもあります。実際には同じ長さの時間であっても、「密度」や「現在からの距離感」は同じではありません。また、自分にとっては「今、目の前にあること」こそが「唯一の時間」に思えますが、実際には「今、目の前以外にあること」も起こっています。そして、それぞれが誰かに「唯一の時間」と思われているのです。>
近藤は数年に渡り、「KiyaKiya」シリーズの制作を通して「時間」というテーマに取り組んできました。その過程で「時間が密度を変えて、いくつも存在していること」を感じるたび、「胸がきやきやする」という感覚を覚え、改めてこのテーマへの興味を深めていきました。
今回は「KiyaKiya」シリーズから、ドローイングと油彩を展示致します。アニメーションでは一瞬で終わってしまう1/15秒の部分や、アニメーションの中には「存在していない時間」などを描くことで、アニメーションとは違う時間の捉え方を表現しています。
本展開催中の8月24日から9月16日まで六本木ヒルズA/Dギャラリーにて「KiyaKiya―アニメーション原画展」を同時開催致します。こちらでは、アニメーションの1/15秒を構成している原画や背景を展示致します。それぞれの時間の流れをご高覧下さい。
また展覧会に合わせて、ナナロク社より「KiyaKiya-アニメーション原画集」、そして初の画集「近藤聡乃作品集」が8月末に発売予定です。