Exhibitions

Archives

千葉和成「ダンテ『神曲』現代解釈集」(TOKYO)

2019年08月21日(水) - 09月21日(土)

ミヅマアートギャラリーでは8月21日から9月21日まで千葉和成展「ダンテ『神曲』現代解釈集」を開催いたします。


 


千葉和成(ちば・かずまさ) は1967年神奈川に生まれ、東京造形大学彫刻科を卒業、以来現在まで神奈川にて制作活動を続けています。

千葉自身ライフワークと称する本作、《ダンテ『神曲』現代解釈集》は、2000年ごろに制作を開始し、現代の日本社会に生きる千葉が日々考えること、それから感じる彼自身の負の感情、そこから立ち上がってくる精神世界を『神曲』の場を借りて、千葉本人がダンテの姿を纏い地獄、煉獄、天国を平面、立体を通して表現していきます。


 


イタリア文学の最大の古典と称される『神曲』は13~14世紀の詩人、政治家であり哲学者であったダンテが人生における道徳的原則を明らかにしようと著した3部作からなる長編叙事詩です。その背景には、当時のイタリアにおける政争と自身の故郷フィレンツェからの追放、そしてベアトリーチェへの永遠の愛の存在を欠かすことができません。

千葉の表現する『神曲』は彼自身がテレビや新聞、インターネット等で調べた事件、事故、またそこから考えられる現代の人間の愚かさ、政治的な不義、そして何よりも人間中心主義がまかり通る社会に対する彼の不満が現れています。

2012年には福島第一原発の事故を描いた本作で第15回岡本太郎現代芸術賞・敏子賞を受賞。福島県出身の両親を持つ彼にとって、震災、福島第一原発の事故と正面から向き合いそれを題材に描くことは至極自然だったかもしれません。


 


この作品の制作を続けることは現代に生きる人間の内面世界を探る旅でもあり、葛藤や迷いなどを抱え込んだ自分自身の心を解放していく行為であると千葉は話します。

今回の展覧会で本作の制作が完結するわけではありません。彼がこの社会で不義、愚かさ、不満を感じる限りこの制作は続いていくのかもしれません。


 


2012年の岡本敏子賞受賞以降、ほとんど発表をすることなくその時間をひたすら制作に当て、20年近くを費やした千葉和成による現代版『神曲』の地獄篇・煉獄編・天国編が一堂に会す迫力のある本展をぜひご高覧ください 。