曽根裕:石器時代最後の夜「今日の3つの話」(TOKYO)
2025年01月15日(水) - 02月15日(土)
2025年1月15日(水)より曽根裕:石器時代最後の夜「今日の3つの話」を開催致します。ミヅマアートギャラリーでは2022年の会田誠との二人展以来、個展としては初めての開催となります。世界各地に活動拠点を持ち、近年は主に香川県で制作を続ける曽根の現在の視点をぜひこの機会にご高覧ください。
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コロナパンデミックにつづいてロシアがウクライナに侵攻し、イスラエルとガザ地区が交戦を始めた時、わたしは、ひとつの時代の終わりと不吉な新時代の行方を考えていた。そしてわたしは、30年前に閉山した凝灰岩の柱状節理の石切場がある香川の「鷲の山」で、山の守り人のようなことを始めた。それは使われなくなった石切場から再び石を採石して、運び降ろし、彫刻をするという作業。
まず、はじまりとして、道具も何もない中で何かそこにあるものを使って何かを作り出していく手法そのものの風景を、石で彫ることにしました。つまりブリコラージュの風景(ダブルログ)。
次に、わたしが雪豹なので、1997年頃から時々作品の内部とは関係なく、作品タイトルに”雪豹”を使ったり、雪豹がいそうな島のインスタレーションを作ったりしていました。わたしにとっての雪豹は、ヒマラヤに生息し、群れをなさず、人間とは絶対に出会わない孤高の生き物です。そういう雪豹も天気が良くて安全なところにいる時には、ふわーっと昼寝をしているのではないかと想像するとわたしはとても嬉しくなります。今思うと、とても長い間わたしはこの作品を作りたかったようです(雪豹)。
それから山の守り人となったわたしは、この山のことを何も知らないことに気づきました。山を少しでも知る意味も含め鷲の山を丸ごと彫刻にしました(鷲の山と柱状節理)。
長いといっても30年くらいの思いと、新しい場所で不都合に、ものを作り生活を始めること、そしてさらにその場の理解を深めること。とはいえ、この現代の混乱に対し、わたしが怒り続けるだろうことにはかわりはない。
[ 展示作品 ]
ブリコラージュの風景《ダブルログ no.3》
長い間作りたかった《雪豹》
わたしが山の守り人になるための《鷲の山と柱状節理》
曽根 裕
2024年11月