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Yoo Seung-Ho 「echowords」(TOKYO)

2007年04月25日(水) - 05月26日(土)


 


1973年生まれのYooは1999年にソウルのHan-Sung大学で美術を学んだ後、2003年に才能ある若手作家に贈られるSeokanamアートアワードを受賞、2005年には森美術館での「秘すれば花-東アジアの現代美術」展に参加するなど韓国内外でその活躍が注目されています。ペンと墨を使って描かれるYooの作品は一見すると古典的な中国の山水画を精巧に真似た風景画に見えますが、よく見るとその風景は小さなハングル文字の集積で構築されていることに気付きます。文章の構成要素である文字を用いて描かれる彼の絵画には何が書かれているのでしょうか?


 


Yooは漫画で見た擬態語・擬音語や子供が使う言葉の効果に注目し作品に取り込みます。擬態語・擬音語には見る者に前後の動作、出来事、思考を推測させ、イマジネーションを広げる力があり、作品の見方に大きく影響します。例えば彼の作品の一つ“Shoooo”では漫画のロケットが発射される場面で目にした言葉「シュー」を上から下へと流れ落ちるように描き、風景画を作り出しました。観客の“一見すると高貴で古典的な山水画”という作品の第一印象は、文字の持つ音、意味、その配置全ての要素により揺らぎ、時には笑を誘います。そこには“崇高で美しい”とされる伝統的な山水画を“古くて退屈だ”というYooのアイロニーや遊び心が含まれているのかもしれません。


 


「古くて退屈なものに新しいものの見方を与えたい」とYooは言います。是非今回の“echowords”にご来場いただき、作品を遠くから、そして近くから眺めて一見シリアスでありながらおかしみを含む文字の渦を体験していただければと思います。