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棚田康司「全裸と布」(TOKYO)

2018年08月01日(水) - 09月01日(土)

夏季休廊:8月11日(土)- 15日(水)


 


ミヅマアートギャラリーでは8月1日(水)より棚田康司展「全裸と布」を開催いたします。


棚田がこれまで彫り続けてきた少年少女の像は、成熟と未熟、聖性と俗性、上昇と下降など、その境界線に存在することによって、無限に広がっていく可能性や領域を私たちに提示してきました。


 


昨年夏に伊丹市立美術館にて開催されたO JUNとの二人展「鬩(せめぐ)」では、彫刻家、画家という異なるアプローチで、表現という大きな課題に立ち向かいました。

互いの少年像を彫り描き、同一のモデルを題材にした作品制作、空間を共有した公開制作など、展覧会名が示す通りの一騎打ちは、結果的には辟易するほどに自分自身と向き合う機会になったと棚田は振り返ります。


 


それから1年が経ち、迎える本展で発表される新作は、一見これまでの棚田作品にみられた少年少女像からは離れた、力強く世界を立ち上げる裸婦像です。


 


重力に抗うようにわずかに上を向いた顎先や、未知に構えるように力が入った足の指先。細部に張り巡らされた緊張感と、母性のような慈しみや温もりが、微妙な均衡を保ちながら確かにそこに存在しています。

木塊という制約から放たれ、棚田の手によって逞しく立ち現れた女性像もまた、境界線に存在し世界を繋いでいくのです。


 


衣服を一枚ずつはがすように、木との対話を丁寧に重ねながら彫り出して行く作業は、より深く人間像を探っていく行為とも言えるのかもしれません。

自分とは何か、表現とは、彫刻とは何かーー更なる深化を遂げる棚田康司が表出させた木の生命を、この機会にぜひご高覧ください。