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O JUN展「途中の造物」(TOKYO)

2019年11月13日(水) - 12月14日(土)

ミヅマアートギャラリーでは、11月13日(水)よりO JUN展「途中の造物」を開催いたします。3年ぶりの個展となる本展では、油彩を中心とした新作を発表いたします。


 


いま、僕は途中の絵の前にいる。描きかけの絵には何かの形が描かれたり、あるいは形にならない何かが描かれていて、色彩があり、その絵の具の厚いところ薄いところがあり、それを描いたときの刷毛目や擦りあとがある。いま、その絵と向かい合って絵を見ている僕も自分の身体の形があり、肌の肌理や色味があり、また服を着ていれば素材の質感もまちまちで着ているシャツやパンツ、靴だのにも形や色がある。このようなもの同士が向かい合っている。この関係を担う僕とこの関係を担うもう片方の目の前の絵。両者の間に朧げに現れ感じられるこの感触は喩えることは難しい。僕にはこう見える、ではなくて、僕らはこう在るという実感を。そこには形も色も質も肌理も見えるものが何一つないというのに。そして描き始めると(僕らが触れ合うと)、この感触はたちまちかき消えてしまうのだ。


O JUN


 


O JUNはこれまで、人物やもの、風景といった日常のありふれたモチーフを、油彩、鉛筆、クレヨン、顔料、水彩など様々な具材を用い、作品に描いてきました。


 


特別な景色やモチーフ、ドラマチックな一場面を選んでいるわけではないにも関わらず、なぜかその絵に惹かれるのは、明るさの中に影が残る色彩や、筆や絵具の生々しい感触、筆先でイメージが咀嚼されていった過程の、その余韻が残る画面に、O JUNという画家の〈描く〉という行為のすべてを絵の中に見出すからかもしれません。


自身もまた、描くこととその行為について「意味ではなく、色彩や形の問題でもない、どちらが優先されるのでもない、マテリアル、絵具、イメージの“一緒くた”を起こすこと」、そして「チューショーガにもグショーガにも落とし込まない、一緒くたの尾根を歩き続けること」と言います。


今回はまさに〈静物〉〈人物〉〈風景〉という絵画の基礎とも言える題材を大中小様々に描くというO JUN。先人たちの延長線上ではない、O JUNならではの絵画を提示します。


 


「途中の造物」というタイトルがつけられた本展は、画家と絵の間で交わされる、心もとなくも親密なやりとりの情景を示したものです。その蜜月を覗きみる展覧会となることでしょう。


自分を「野放しに」して描くという、変化し続けるO JUNの新作をぜひご高覧賜れましたら幸いです。