News

Archives

アルベルト ・ヨナタン・セティアワン展 「Capturing Silence/キャプチャリング・サイレンス」

2023年10月07日(土) - 11月05日(日)

10 月6 日(金)より、インドネシア・ジョグジャカルタのジョグジャ国立美術館(JNM)にてアルベルト ・ヨナタン・セティアワン展「Capturing Silence/キャプチャリング・サイレンス」が開催されます。

「キャプチャリング・サイレンス」は、アルベルト・ヨナタン・セティアワン自身がキュレーションを行い、厳選された彼の作品の数々を展示する回顧展です。本展では、2008 年の初期作品から最新作までをご紹介いたします。セティアワンは、2007 年にバンドン工科大学芸術デザイン学部を卒業し、すぐにバンドンで作家活動を開始しました。 2012 年には京都精華大学芸術学部陶芸学科で現代陶芸を学ぶために日本に拠点を移し、2020 年には同大学大学院にて博士課程を修了。以来、日本に在住し、現在は東京を拠点に活動しています。主に陶芸作品を制作していますが、 ドローイング、ビデオ、パフォーマンスなど、他のメディアを用いた実験的な作品も積極的に手がけています。

本展では、作家は現象学と物質的想像力の研究の観点から、自身の実践を見直し、再文脈化しようと試みています。 セティアワンの考えでは、粘土の物質性を理解することは、彼の実践の全ての領域を理解するための極めて重要な側面です。

セティアワンは詩的に、自身の作品の反復性を「静寂をとらえる (キャプチャリング・サイレンス)」行為と表現し、 「静寂」という言葉を使って、どのような物質もその内面性に私たちを引き込む傾向があるという考えを述べていま す。彼の分析では、「静寂」とは物質の内面性そのものです。

セティアワンにとって、粘土または陶器は「身体」という概念を思い起こさせます。

 

「身体」という言葉は、人間の肉体としてのみ理解されるものではなく、抽象的なものを形式的に体現するものでも あります。彼は、自身の陶芸の実践を具現化された経験としてとらえ、完成した陶磁器の作品そのものが、この活動 やプロセスの痕跡として機能すると考えています。セティアワンは、スリップキャスティングを主な制作方法として 繰り返し用いています。
また、彼はスタジオアシスタントの助けを借りずに、自ら直接作業に携わることを重要視しており、これを「芸術労 働」の一形態と呼んでいます。彼の陶芸作品はどれも、幾何学的なパターンに構成された、手のひらほどの小さな陶 磁器のオブジェの集合体です。それらは観る者に静寂の感覚を呼び起こします。
セティアワンは、多様な文化や宗教 の伝統的な装飾品やシンボルからインスピレーションを得て、それらが何らかの宗教的な意味を持つかのように再構築しています。しかし、セティアワンの個々の陶磁器のオブジェは極めて特異なものであり、その意味は作家自身の イマジネーションに由来します。

「キャプチャリング・サイレンス」は、作家自身がこの展覧会のために選んだ90 点以上の作品を紹介し、これらは 年代順ではなく、彼が15 年にわたる実践の過程で探求してきた特定のテーマやアイデアに基づいて展示されます。

彼自身の執筆に加えて、セティワンは三名の執筆者を招待し、共同執筆を行いました。これらの三名の執筆者は、シ ンガポールを拠点とするインディペンデント・キュレーターのTan Siuli、タイ・バンコクを拠点とするインディペ ンデント・キュレーター兼作家のLoredana Pazzini-Paracciani、そしてインドネシア・バンドンを拠点とするアー ティスト・キュレーター・教育者のNurdian Ichsan です。 本展覧会の読み解きと分析、そして作家の包括的な活動に対する彼らの寄稿文は、展覧会の最終週に刊行される展覧 会カタログに掲載されます。

アーティストについて

アルベルト・ヨナタン・セティアワン (1983 年生まれ、インドネシア・バンドン出身)2012 年、バンドン工科大学芸術デザイン学部陶芸科修士課程卒業。その後、京都に移り、京都精華大学で現代陶芸の研究と実践を続け、2020 年に同大学で博士号を取得。第 55 回ヴェネチア・ビエンナーレ(2013 年)、森美術館(東京)で開催された「SUNSHOWER: Contemporary Art from Southeast Asia 1980s to Now」(2017 年)、オーストラリア国立美術館(キャンベラ、オーストラリア)での「Contemporary Worlds: Indonesia」(2019 年)など、いくつかの大規模な展覧会に参加している。また、キャンベラのストラスネアン・アーツ・アソシエーション(オーストラリア、2016 年)、滋賀県立陶芸の森(日本、滋賀、2009 年/国際交流基金)にてアーティスト・レジデンスに参加。
作品は森美術館(東京、日本)、オーストラリア国立美術館(キャンベラ、オーストラリア)、トゥムルン・プライベート・ミュージアム(ソロ、インドネシア)、ポーラ ミュージアム アネックス(東京、日本)、OHDミュージアム(マゲラン、インドネシア)、岐阜県現代陶芸美術館(岐阜、日本)、シンガポール美術館(シンガポール)、滋賀県立陶芸の森 陶芸館(滋賀、日本)に収蔵されている。セティアワンは、主に現代陶芸の分野で芸術活動を展開しているが、同時にドローイング、マルチメディア・インスタレーション、パフォーマンス、ビデオ・ドキュメンテーションなど、さまざまなメディアを通して自身のコンセプチュアルなアイデアを表現している。現在、東京を拠点に活動中。

 

展覧会概要

 

<会期>2023 年10 月6 日(金)ー11 月5 日(日)

オープニングレセプション (招待のみ): 2023 年10 月6 日(金)

一般公開:2023 年10 月7 日(土)- 11 月5 日(日


<開廊時間>10:00 – 21:00 会期中無休

<会場>ジョグジャ国立美術館 (Jl. Prof. Ki Amri Yahya No. 1, Gampingan, Pakuncen, Wirobrajan, Yogyakarta 55253, Indonesia)

<入場料>50,000 ルピア / 入場チケットは会場にて販売(再入場不可)

 

☆関連イベント☆

アーティスト・ツアー
日時:10月7日(土)13時30分 – 15時、14時 – 17時30分

           11月4日(土)14時30分 – 16時、17時30分 – 19時

会場:ジョグジャ国立美術館

出版記念会、アーティスト&ライター・トーク

日時:11月5日(日)15時 – 17時

会場:ジョグジャ国立美術館

 

こちらのイベントは変更される場合があります。公開プログラムおよび参加登録に関する最新情報は、後日インスタグラム・ページ@capturing.silenceでお知らせします。

← News一覧へ戻る