江口綾音の個展「Eiko」が渋谷PARCO 4FにあるMeets by NADiffで開催されます。
<会期> 2020年10月13日(火)ー11月15日(日)
(開催期間が延長されました!11/1→11/15)
<開館時間> 11:00 – 21:00
<定休日> 不定休
<会場>Meets by NADiff(渋谷PARCO 4F)
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栄枯とは植物が生い茂り盛んになることと枯れて朽ちること。
「栄枯」には本当に泣かされてきた。今まで一番だったのは、小学生のころ家の近くのよく遊びに行く神社で拾った愛猫が、十数年経て死んでしまったとき。ここ最近では、友人の勧めにほいほい乗って読んでしまった吉田秋生著「BANANA FISH」。どちらも「枯」の部分だけに心を強くつかまれるのではなく、「栄」があるからこんなにも辛いのだと思う。
「栄枯」がわかりやすく描かれた作品に九相図というものがある。屋外に置かれた死体が 朽ちていく過程を九段階に分けて描いた仏教絵画で、国内に数種類ある。女人禁制の仏僧 が修行の過程で煩悩に惑わされないように、美しい女人の朽ちていく様を現し、肉体の無常 と不浄を説くためのものであったという。初めて図録で九相図を見たとき、私はとても興味を引かれた。屋外に置いてあるだけの死体など見たこともなく、デフォルメがどの程度されているかもわからない。おどろおどろしいけれども見たくなってしまう。繊細に描きこまれたたくさんの線の集積を夢中で追った。
そう、泣かされてきてはいるが、「栄枯」にどうしようもなく焦がれる部分がある。私は煩悩を断つための九相図ではなく、「栄枯」を想うための九相図を作ろうと思った。これからも寄せては返す波がごとく、数えきれないほどやってくる「栄枯」。ただただ悲しんだり戒めにするだけでなく、楽しんだり、それを慈しむ、そういう方法もあるはずだ。
江口綾音