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Hirofu ISO / Komainu「 Nighthopper 」(TOKYO)

2007年06月06日(水) - 07月07日(土)

1978年生まれのHirofu ISO / Komainuは大学で学んだ建築と美術のアプローチを用いて、周囲や自分の中にある、ありふれた出来事をきっかけとした作品をインスタレーションとして制作しています。Komainu改めHirofu ISO/Komainuとして3年ぶりの個展となる本展では、作品を通して作家自身が旅先で出会った出来事の再構築を試みます。


 


「境界とは、分けると同時に、接点でもあるんだ。さらに言えばそれは場であるし、出来事でもある。」という作家の言葉のように、”昼と夜”、”都市とその外側”、”自己と他者”など物事の間に存在する境界と接点を、インスタレーションとして捉えた作品「Days in Nights」が本展の中心となります。照明器具からチェーンに繋がれた昆虫がぶら下がるこの作品は、本来月や星の光を頼りに飛ぶ昆虫達が蛍光灯という人工の明かりに惑わされて飛行を乱している様をあらわしています。人間の光は昆虫にとって未知のものであり、今も自然の外側であり続けていますが、作家の言うように「何千年もしたら、昆虫が人間の光をちゃんと識別し、この境界線は遠のいてしまう。そしてこの境界線はまた、あらたな出来事として現れる。」儚いものなのかもしれません。


 


また、作家自身が長年履き続けたスニーカーの靴底をゼロックスにとり、本人の身長にまで引き伸ばした平面作品、「Land」も展示されます。都市と自分との接点である靴底には、様々な場所や出来事が、地形のように写し取られています。毎日のように身に付ける靴ですが、その靴底は目に見えない無意識の場所として存在しています。夜になると誰もが靴を脱ぎ一日を終えるというその行為は、活動と休息を分けるものといえるでしょう。それらの要素がこの作品をよりパーソナルなものにしています。


 


展覧会タイトル「nighthopper」には“夜出歩く人”という意味があります。昼間活動する人間にとって夜の闇は未知の世界であり、同様に暗闇で活動する昆虫達は人間の作り出す光に馴染がありません。常に未知なもの、無意識的なものに興味を持ち制作を続ける作家は、まるで夜の闇に活動の場を広げるかのようにその領域を広げていきます。そうしてあたかも昼と夜の境目を侵すように、未知の領域が既知なものへと変化していく中で起こる境界線の変化や出来事を“かたち”としてとらえ、完成したインスタレーションに是非足をお運び戴ければと存じます。


 


意識せずとも日常存在している、言葉では捉えられない出来事を表現しようとするHirofu ISO / Komainuの感性とイマジネーションをお楽しみ下さい。