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筒井伸輔 展(TOKYO)

2008年11月28日(金) - 12月22日(月)

ミヅマアートギャラリーは本年最後の展覧会として、11月28日より筒井伸輔展を開催いたします。


 


筒井は蜜蝋(みつろう)を使用し、一貫して「虫」をモチーフにした作品の制作を続けています。身近な虫を採集し、顕微鏡で撮影した画像をプロジェクターで投影して型紙を作り、それを基に油彩や顔料などで着色した蜜蝋を色別に順番に流し込んでパズルのようにキャンバスを埋めていきます。


 


これまでの筒井の作品に共通しているニュートラルな色彩や構図の選択は、作家の意図的な操作をなくし、主観、またその痕跡を消すためのものでした。しかしながら、深い探究心と鋭い観察眼によって「在るもの」が形になっていくその過程で、常に「偽物を作っている」という意識があったと筒井は認めます。結局のところ、種を撒き、面倒を見て野菜が育つようには作品は出来てこないのだと。


 


前回の個展から2年。日々の丹念な考察と独自の表現方法の研究を通し、「実在」との対峙の中で、モチーフを意識的にトリミングして構図を作ったり、そのモチーフとなる昆虫や標本、顕微鏡写真などの実際の色と関係のない色を選択したり、地(じ)の部分にも色を入れていくなど制作の姿勢がより絵画的になってきたと筒井は言います。


 


琥珀の中に閉じ込められ化石化した虫たちが、永い眠りから覚め、鮮やかな色彩によって蘇生し、偶有的ではなく、その存在の証明を誇示するかのように、筒井の作品は生命の起源や普遍性を静かに私たちに語りかけます。


 


本展はすべて新作の約10点の作品で構成される予定です。作家独自の表現世界の中で確実に何かが動き出したこの瞬間を、是非ご高覧下さい。