鴻池朋子展「隠れマウンテン&ザ・ロッジ」(TOKYO)
2008年04月16日(水) - 05月28日(水)
ミヅマアートギャラリーでは4月16日~5月28日まで鴻池朋子展「隠れマウンテン&ザ・ロッジ」を開催いたします。
2005年~2006年にかけて発表した6メートルを超える4つの巨大絵画「物語」シリーズは、作品によって観客自身の物語を引き出すことをテーマに制作され、作家の言葉はそこに敢えて介在させませんでした。しかし鴻池はそのことになぜか重大な過失を犯してしまったような感覚を持ち続けていました。
その後約一年の間制作を通して自分と向き合っていたある日、「それは鴻池さん、もしできることなら観客は誰でも作家のひたいを開いて、脳の中に入り込んでその中の世界を見てみたい、歩き廻ってみたいものなんですよ。それができるならどんなに素晴らしいか。」と何気なく言われた観客の一言で、鴻池はずっと自分が「一番言いたいことを隠している」ことに気づきました。ならば、観客が作家の額を開いて、その中央にある松果体あたりに侵入し、くるりと振り返って瞳孔の窓から外の風景を眺められたらどんなにいいだろうかと。
今回ミヅマアートギャラリー2F&5Fにて開催する個展は、ビル全体を山に見立て、登山するように作品を鑑賞してゆく構成になっています。登山とは自然現象や予期せぬアクシデントに見舞われる可能性を含み、自己と向き合いながらその向こうの世界を切り開いていく力を必要とします。
観客はまず大きな襖絵を目の前にし、描かれたもの(そして閉じられているもの)の向こうの世界を想像し、その想像力と共に頂上を目指して進みます。作品の向こう側にある、隠されたものを見たいという欲望は、まるで険しい山の頂きに挑む山登りのように観客へ恐怖や歓喜を触発してゆきます。
今まで作家鴻池朋子があまり語らなかった自身の言葉を、新作絵画、インスタレーションを通じて皆様に感じ取っていただけることと思います。
また4月4日より国際フォーラムにて開催されますアートフェア東京でも鴻池の個展を行います。「バージニア -束縛と解放の飛行-」と名づけられた巨大な立体を展示したブースで、束縛の翼と解放の翼をもつ生命体がただそこにあるというリアルな存在感を堪能していただけることでしょう。
鴻池の新たな魅力が開花する4月。是非ご高覧下さい。
日・月・祝日は休廊ですが、5月3日、6日は開廊致します。
皆様のご来廊お待ちしております。