太田麻里 展(TOKYO)
2009年04月22日(水) - 05月23日(土)
1982年名古屋市生まれの太田麻里は、2006年 多摩美術大学絵画学科油絵専攻卒業。その後、2008年 京都市立芸術大学大学院美術研究科絵画専攻油画修了。これまでにミヅマ・アクションで「眼差しと好奇心」(2006年)「眼差しと好奇心vol.4」(2008年)に参加しました。「眼差しと好奇心」では、日記を書くように日常の断片を綴ったドローイングを、Royal College of Art (London) 交換留学を経た「眼差しと好奇心vol.4」では、彼女の見たイメージを単純化したドローングで描き出しました。
本展では、彼女によって描かれたイメージにさらにドローイング(線をひいて描く)を重ねた作品を展示いたします。
以前、彼女は自分が使用していた楽譜を塗りつぶすような感覚でイメージを重ねる制作をしていました。昨年から大きな白い紙にイメージのみを描くようになり、彼女はその行為に何か違和感を持ち始めました。ただ、イメージをなぞるだけの行為。そして、彼女は突然今まで描いた絵を塗り潰したいという衝動にかられます。丁寧に描いた作品を見ているときに、ふと湧きあがってくる、消し去ってしまいたいという衝動。そして、元の戻したいという欲求。こうした矛盾した二つの感覚によって描き進めます。彼女は言います。「例えば私が小学生の頃歴史の授業で、戦時中に教科書を墨で塗り潰したり、キリシタン迫害の踏み絵について知った時、すごくショックでした。今やっている理由はそれだけではありませんが、そのような感覚が潜在的に残っているのかもしれません。」
彼女は一度消したものを元に戻そうとしてもできなくて、やっぱりまた消したいけど完全には消せなくて…という連環した、まるでメビウスの輪のような矛盾そのもののどちらもあわさったドローイングを描きます。
それは、太田の行うパフォーマンスにも通じるものです。彼女のパフォーマンスは奇抜なものやオーディエンスを驚かすような行為ではありません。ただ淡々と進んでいきます。身体を使って表現した瞬間、その行為を否定し、再び表現したいという矛盾した感覚の連続。その中に戻らないもの、痕跡をとどめておけないものを表現しようと模索しているのです。
4/29、5/3-6の祝日は開廊いたします。
☆パフォーマンスを行います。
5月5日(火)17時30分より