山口晃 展「いのち丸」(TOKYO)
2010年10月27日(水) - 11月27日(土)
2010年10月27日よりミヅマアートギャラリーに於いては4年ぶりとなる山口晃の個展「いのち丸」を開催いたします。
本展では、さすらいの男児「いのち丸」の旅物語が、色彩を廃した白描画(*注)の中に展開されます。物語は、美しい顔を無残に損なわれ、それを因果の見世物にして旅廻りをする乙女と「いのち丸」との出会いから始まります。
しかし、始めから物語は脱線し、山口の興味の赴くままに、連想とも単なる羅列ともつかぬ作品が並びます。それに合わせるように、墨や鉛筆、ペンや油彩に始まり、光や影、果ては盲点に至るまで様々な素材が試され、絵画や立体となって展開されます。
色に邪魔されることのない図像の中で、観客は見え隠れするストーリーラインに、ある時は引き付けられ、放り出され、気が付くと全体視の如き意識の広がりを促されています。山口の用意した出品リストには「江戸ロケット」「儒者の家」「不画之画」「ダークマター」「富士山大爆発」などのタイトルが並び、それらを始めとする作品群が皆様のご来場をお待ちしております。一見無関係と思われる作品同士が、会場内でどのようにつながり、どのように離れていくのか。変化を含んだ存在としての作品をどうぞご体感下さい。
*白描画(はくびょうが):描線を主体とし墨一色で描いた絵。