オ・チギュン展(TOKYO)
2012年01月18日(水) - 02月18日(土)
ミヅマアートギャラリーは新年1月18日(水)よりオ・チギュン展を開催いたします。
オ・チギュンは1956年、韓国のバンソク村にて7人兄弟の末っ子として生まれました。80年にソウル大学校美術大学を卒業後、86年にニューヨークへ活動の拠点を移し、88年にBrooklyn College School of Artを修了。以降、アメリカと韓国で幅広く活動を展開し、現在は韓国を拠点に精力的に制作を続けています。本展が日本で初めて開催される個展となります。
時折その中に微かな人間の気配を配置することもありますが、オ・チギュンは主に風景を描きます。もっともシンプルかつ複雑に絡み合い、風景画でありながらもオの絵画はその存在に「生命」を与えます。絵筆ではなく指で描かれる熟練したインパスト技法と色彩のグラデーションが調和し、キャンバス上に現れた架空の景色は、光と時間の層が溶け出し、途切れることのない記憶の流れが紡がれる場所へと鑑賞者を誘います。
ぐるぐるとなぞられた絵具の痕跡は、身体の成長と連鎖するがごとく、画面の外へ外へと増殖し、生々しい感覚が観る者をぐるりと取り囲みます。まるで触れることができるかのように私たちは漲る生命力に包まれるのです。
本展はニューヨークで制作された90年代の作品から韓国で制作された最新作によって構成され、オ・チギュンの世界観を幅広く紹介します。“New York”、“Santa Fe”シリーズは、アメリカを代表する大都市と片田舎という両極のテリトリーを同じ観点から描き出し、人々が価値をなくしてしまった、もしくはそこには元々存在していない人間性を表現します。“Sabuk”、“Hometown”シリーズでは、祖国に戻ったオ・チギュンが目にした地方都市の光景に、繊細で温かい彼の視線が映し出され、近年最も評価を得ている“Persimmons”シリーズへの展開を想起させます。それらは韓国の人々の心の奥底へと続く扉をそっと叩くように、人々の琴線に触れるのです。
東と西、光と時間の交錯する場所に立ち、ただ美しいだけでなく、命を吹き込まれ形を変えて現れたオ・チギュンの描く景色を探索していただきたく、ここにご案内を申し上げます。