宮永愛子展「house」(TOKYO)
2013年06月12日(水) - 08月03日(土)
6月12日より五島記念文化賞美術新人賞研修帰国記念 宮永愛子展「house」を開催致します。
国立国際美術館にて昨年開催された宮永愛子展はその壮大な作品展示が大きな反響を呼びました。以降初の展示となる今展では大阪で展示され象徴的な作品となったナフタリンの椅子作品を関東で初めて展示し、新作を加えて構成されます。
平成23年度 五島記念文化賞 美術新人賞を受賞した宮永は自身の日常である日本の「裏側」の景色を見る旅に出ました。アメリカを拠点として中南米を回ることで知ったこれまで見たことのない景色。形を保ったまま化石となった樹木の森。海が途方も無い時間をかけて姿を変えていく塩の湖や白いセレナイト結晶の砂漠。地球に流れる時間(=変化)の痕跡である地層。百億光年先の宇宙に魅せられて標高5,000mのアルマ展望台に世界中から集う人々。
しかし宮永は、どんな「見知らぬ絶景」も突然現れた奇妙で独立した景色とは感じませんでした。むしろそれらは世界が安定を求めて変化を続けている証ではないだろうか、と。日本の反対側にある景色も、私たちの日常の景色とつながり隣り合っていると感じたのです。
旅の中で見た景色は、彼女の作品にしなやかな強さを与えます。日常の景色を象徴する庭木である金木犀の剪定葉を集めそれらをつなぐことで新しい景色を表した作品「景色のはじまり」、ナフタリンで作られた日用品が少しずつ結晶に姿を変えていく彼女の代名詞的な作品、焼き上げられた陶器が安定を求めひび模様を作る際に発する音を使った作品…。宮永の作品はこの変化しながら続いていく世界を結晶化して私たちの前に表します。
手のひらより小さな葉っぱを透かしてみると、俯瞰した広大な地図にも見えてきます。宮永は世界の形はいつも小さな日常の中に見つかると考えます。「house」とは私たちの日常で最も親しい景色。最も遠い景色の旅から戻り、日常の中で結晶化された宮永の作品。そこにはこれから私たちの前に続いていく景色へつながる鍵がみつかるかもしれません。
共催:公益財団法人 五島記念文化財団