天野喜孝展「春夢譚」(TOKYO)
2019年04月10日(水) - 05月18日(土)
ミヅマアートギャラリーでは2019年4月10日(水)より天野喜孝展「春夢譚(しゅんむたん)」を開催致します。
天野喜孝は、15歳でアニメ制作会社タツノコプロに入社。「タイムボカン」シリーズや「科学忍者隊ガッチャマン」など数多くのキャラクターデザインに関わりました。独立後に手掛けた「吸血鬼ハンターD」の挿画や、特に「ファイナルファンタジー」シリーズのキャラクターデザインは天野の名を世界的なものとしています。90年代後半以降、天野はその活動の中心をファインアートに移し、主に海外で活動してきましたが、熊本市現代美術館「天野喜孝展 想像を超えた世界」(2014年)を皮切りに、日本の公立美術館での大規模な巡回展が開催されました。昨年はニューヨークMizuma, Kips & Wada Artのグランドオープニングを飾った個展や中国で初めての大規模個展など、日本を代表するクリエイターとして国内外で目覚ましい活躍を続けています。本展に先立ち、4月2日〜16日にはタツノコプロを原点に持つ4名の作家による「ラフ∞絵展」も3331 Arts Chiyodaにて開催されます。
少女が大人へと成長する中で垣間見せる輝きは、人類にとって根源的な美的概念の源泉の一つで、様々な分野の芸術において主題あるいは重要な衝動として描かれます。それらは春の夢のように儚い美であり、いつか移り変わる予感を内包するからこそ、人はそこに眩しい生の輝きを見るのかもしれません。天野の描く女性たちは刹那の感情を浮かべることなく、静かにその生の存在を世界と物語の中に運命的に横たえています。
長い冬の緊張がコップから溢れるように、私たちを取り囲む景色はこの季節に一斉に華やぎ、惜しむ間も無く鮮やかな変遷を見せていきます。そして私たちは今年、長く親しんだ年表の色が変わりゆく、それぞれの春を迎えます。本展にて天野喜孝が様々な手法で描いた春は、変わりゆく季節と時代に舞うひとひらの物語。この機会にぜひご高覧頂けましたら幸いです。